小樽市鰊御殿(おたるし にしんごてん)は、明治時代に建設されたにしん漁場の代表的な建築物であり、北海道小樽市に位置しています。以下に詳細な情報を提供します。
鰊御殿は、明治24年(1891年)から明治30年(1897年)までの7年間をかけて、積丹半島西部にある泊村のにしん網元であった田中福松氏によって建設されました。その後、昭和33年(1958年)に小樽市に移築されました。
当時の積丹半島はにしん漁の最盛期であり、鰊御殿はその中でも大規模な施設でした。総面積は611.9平方メートルで、切妻造りの建物であり、最盛期には100人以上の働き手であるヤン衆と網元の家族が寝泊まりしていました。鰊御殿は民家としても北海道を代表する建築遺跡とされています。
鰊御殿がある祝津地区は、小樽市で古くから水産業が盛んに行われた場所であり、多くのにしん漁場の史跡が残っています。鰊御殿からは石狩湾と雄冬岬が見渡せる高台に位置しています。この地域はかつて鰊を満載した船が出入りする鰊千石場所としても知られていました。
鰊御殿は昭和35年(1960年)に「北海道有形文化財・にしん漁場建築」として、北海道の民家として初めて文化財に指定されました。
現在の鰊御殿は、移築後に復元されたものであり、明治時代の原型を保っています。その華やかな雰囲気は、かつての繁栄を偲ばせる貴重な建築物です。
また、鰊御殿に関連して、小樽市では「にしん甘露煮」という人気のお土産も販売されています。